広義には、日本酒、ビール、ウイスキー、ワインなどのアルコールを含む飲料全般を指す。本項ではこれについて述べる。
狭義には、特に日本酒(清酒)を指す。欧米では「Sake」が外来語として日本酒を指す言葉になっている。
缶チューハイに記された点字「おさけ」また、近年では、ジュースなどとの誤認を防止するため、果汁を配合したチューハイやカクテルなどの容器の前面に「お酒」と表記されたり、缶入りビールやチューハイなどの上部に点字で「おさけ」などの表記がされるようになっている。
なお、酒を飲む代金のことは「のみだい」ではなく「飲み代(のみしろ)」という。酒の代金のことは
酒(さけ)は、エタノール(酒精、エチルアルコール)が含まれた飲料である「お酒」という丁寧な呼び方もよく用いられ、「酒類」や「アルコール飲料」とも呼ばれる。また、ソフトドリンクに対してハードドリンクとも呼ばれることもある。なお西洋ではワインに相当する語彙が総称として用いられることがある。
日本の酒税法では、アルコール分を1%以上含む飲料と定義さ酒税の課税対象となっている[2]。そのためアルコールを10%以上含み江戸時代には酒であったみりん(本みりん)は、調味料として使用される場合でも酒税の課税対象となる
製造方法や原料等は多種多様だが、原材料から発酵によってエチルアルコールを生成することで共通している。エチルアルコールは人間の不安感・抑うつ感を抑える向精神性物質で、酒の製造および販売は、多くの国において法律(日本では酒税法や未成年者飲酒禁止法)により規制されている。
米だけの純米
「酒代(さかだい)」という。
日本酒に用いる麹は、蒸した米に麹菌というコウジカビの胞子をふりかけて育てたものであり、米麹(こめこうじ)ともいう。これが米のデンプンをブドウ糖に変える、すなわち糖化の働きをする。
穀物である米は、主成分が多糖類であるデンプンであり、そのままでは酵母がエネルギー源として利用できないので、麹の働きによって分子量の小さな糖へと分解せねばならない。言いかえれば、酵母がデンプンから直接アルコール発酵を行うことはできないので、アルコールが生成されるには酵母が発酵を始められるように、いわば下ごしらえとしてデンプンが糖化されなければならない。その役割を担うのが、日本酒の場合は米麹である。米麹は、コウジカビが生成するデンプンの分解酵素であるα-アミラーゼやグルコアミラーゼを含み、これらの働きによって糖化が行われる。米麹は、ほかにタンパク質の分解酵素も含んでおり、分解によって生じたアミノ酸やペプチドは、酵母の生育や完成した酒の風味に影響する(参照:#麹造り)。
多くの宗教では、酒を特別なものとして扱っている。
神道では、お神酒(おみき)は神への捧げものであると同時に、身を清め神との一体感を高めるための飲み物とされる。
カトリックなど大多数のキリスト教会派ではミサや礼拝の際に執り行われる聖餐式で、赤ワイン(葡萄酒、特に混ぜ物のされていない純粋なもの)がイエスの血の象徴とされる。ただし、プロテスタントの宗派の多くはアルコール分を含まないブドウジュースを用いる。
ユダヤ教では、安息日や祝祭日を聖化して迎えるために、夕食前にワインを専用の杯に注いでキッドゥーシュという祈りの言葉を唱える(ブドウジュースで代用する場合もある)。
仏教やキリスト教プロテスタントでは、飲酒は避けるべき悪徳であるとされる。ただし、明確に禁止されてもいないため、黙認されている。プロテスタントの中でも宗派により容認度は異なり、保守的な宗派ほど厳しい。セブンスデー・アドベンチスト教会は禁酒を勧めている。
モルモン教は飲酒を禁じている。
日本の仏教各宗派でも表向きは飲酒を禁じていたが、穀物を利用して作られる酒は仏教の殺生戒にはあたらないので、般若湯と称する事で僧侶の飲酒を黙認していた宗派が多く、浄土真宗においては無戒であるため最初から許可されている。
ヒンドゥー教では飲酒は避けるべき悪徳であるとされ、中でもヴィシュヌ神の敬虔な信者の多くは飲酒をしない。
純米酒とは
酒を造るために用いる道具。
壺(つぼ) / 甕(かめ) / 桶(おけ)
樽(たる) / 結樽(ゆいだる) /
箍(たが)
釜(かま) / 甑(こしき) / 蒸籠(せいろ)
麹室(こうじむろ) / 麹蓋(こうじぶた) / 麹箱(こうじばこ) /
麹床(こうじどこ)
酛場(もとば) / 酛桶(もとおけ)
仕込み場(しこみば)
笊籬(いかき) / 槽(ふね) / 袋(ふくろ) /
やぶた
炭(すみ)
精米機(せいまいき) / 縦型精米機(たてがたせいまいき)
日本酒に関する施設 [編集]
宗教施設
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ごく少数の寺院もあるが、ほとんどが神道系で、神社や祠(ほこら)である。
日本の酒に関する神社は全国で40社近くで、全部で55以上の神がまつられている。なかには麹や仕込み水に祀る対象を特化している神社もある。日本においては、ヨーロッパのバッカス、中国の杜康のように、酒のみの神として特定できる神様はいないと言われている。
祀られている主な神々
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大国主大神(おおくにぬしのみこと)
大山咋神
少彦名神
大己貴神
木花咲耶姫 -
木華佐久耶姫、木花之佐久夜毘売、木花開耶姫とも。
佐牙弥豆男神と佐牙弥豆女神 -
酒弥豆男神と酒弥豆女神、酒美豆男と酒美豆女に同じ。応仁天皇の御世に渡来した醸造技術者、兄曽曽保利と妹曽曽保利と考えられている。
興味深いことに、日本酒に関する神社は、千葉から福岡のあいだだけに位置するという[5]。なかでも京都と奈良に集中している。
主な神社
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大神神社
奈良市。酒の神として大物主が奉られている。三輪明神とも。
松尾大社
京都市。醸造の神として信仰されている。
弓弦羽神社
灘五郷の古社。
梅宮大神
京都市。
出雲大社
島根県出雲市。
佐香神社
島根県平田市。島根県が開発した酒米佐香錦の名称由来ともなった。
日吉神社
滋賀県大津市。
還暦のお祝いに
佐牙神社
京都市。佐牙弥豆男神と佐牙弥豆女神を祀る。
壺神神社
奈良市。佐牙弥豆男神と佐牙弥豆女神を祀る。
酒見神社
愛知県一宮市。佐牙弥豆男神と佐牙弥豆女神を祀る。
神社以外
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菩提山正暦寺
奈良市。かつて僧坊酒を造っていた中心的な寺院であった。初めて清酒がここで醸造されたという伝承があり、「日本清酒発祥之地」の碑が建つ。(参照:清酒の起源)
博物館・資料館
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男山酒造り資料館(北海道旭川市) -
もとは摂泉十二郷の銘柄であった『男山』340年の歴史と江戸時代の資料、文献、酒器などが展示、公開されている。
南部杜氏の里(岩手県石鳥谷町) -
南部杜氏伝承館、南部杜氏会館、南部杜氏歴史民族資料館、石鳥谷農業伝承館など多くの南部杜氏に関する歴史や文物の展示施設が点在している。
秩父錦
酒づくりの森(埼玉県秩父市) -
秩父市矢尾酒造が開設している資料館で、江戸時代の酒造関係の文書や機具、また全国に散在する江州蔵の成り立ちについての資料を展示している。
日本の酒情報館
Sake Plaza(東京都港区) -
日本酒造組合中央会が直営する日本酒や焼酎に関する資料館。各種展示のほか、約6,000冊の関係資料の閲覧もできる。イベント開催のため閉館の日も多い。
ぽんしゅ館(新潟県南魚沼郡湯沢町)
-
上越新幹線越後湯沢駅構内に併設されている小規模の博物館だが、新潟県内ほぼ全ての酒を利けるコーナーや酒風呂などがある。
月桂冠大倉記念館(京都市伏見区)
純米酒の歴史
日本酒に関する創作作品
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文芸・漫画 [編集]
藏 -
宮尾登美子著。小説。戦前に新潟県の造り酒屋の娘として生まれた女性が、障害を負いながらも蔵元として成長する姿を描く。
夏子の酒 -
尾瀬あきら作。漫画・テレビドラマ。東京でOLをしていた新潟県の造り酒屋の娘が、兄の死をきっかけに蔵を継ぎ、様々な問題に立ち向かいながら幻の酒米を復活させる。
奈津の蔵
- 尾瀬あきら作。夏子の酒の主人公夏子の祖母である奈津が蔵に嫁入りしてからの半生を、酒造技術の発展や戦争などの時代背景とともに描く。
美味しんぼ -
雁屋哲原作・花咲アキラ作画の漫画。連載当初からフランス料理の「料理とワインのマリアージュ」に対し、日本にも和食と日本酒の引き立て合いの文化があることを紹介してきた。
もやしもん
-
石川雅之作。漫画。麹や酵母等の菌が見える主人公・沢木と、周囲の人間たちの農業大学での生活を描く。沢木は「もやし屋」こと種麹屋の息子であり、また酒造は農大の重要な研究テーマであることから、日本酒をはじめとしたさまざまな酒が登場する。
大使閣下の料理人
-
西村ミツル著の回想記、およびこれを原作として脚色を加えたかわすみひろし作画の漫画。料理人である主人公が雇用者である外交官に、日本酒の良さを説くものの、日本国外での日本酒の流行は流行りに弱い若い世代だけに限られるとして、取り合ってもらえない。最終的には、日本酒の真価が認められる、というエピソードがある。
酒のほそ道
- ラズウェル細木作。漫画。東京でサラリーマン生活をおくる独身の岩間宗達とその周辺の飲兵衛が繰り広げる、蘊蓄とどたばたを季節感たっぷりに紹介する。
蔵人
クロード - 尾瀬あきら作。漫画。日系3世のアメリカ人クロードが、造り酒屋の蔵人になり、幻の酒を復活させようとする。
BARレモン・ハート -
古谷三敏作のバーを舞台とした漫画。作中に日本酒を含む多くの酒が登場する。
音楽・演劇・舞踊・落語
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日本酒の主な原料は、米と水と麹(米麹)であるが、それ以外にも酵母、乳酸菌など多くのものに支えられて日本酒が醸造されるので、広義にはそれらすべてを「日本酒の原料」と呼ぶこともある。専門的には、香味の調整に使われる「醸造アルコール」「酸味料」「調味料」「アミノ酸」「糖類」などは副原料と呼んで区別する。
米
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用途によって、麹米(こうじまい)用と掛け米(かけまい)用の2種類がある。
麹米には通常酒米(酒造好適米)が使われる。掛け米には、全部または一部に一般米(うるち米)が使われるが、特定名称酒の場合、酒米のみが使われることが多い。普通酒は麹米、掛け米ともにすべて一般米で造られるのがほとんどである。
しかし、一般米からも高い評価を得る酒が造られており、高級酒となるとかつて山田錦一辺倒の傾向すらあった原料米の選び方や使い方も、近年は新種の開発などにより変化が著しい。詳しくは「酒米」参照。
水
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水は日本酒の80%を占める成分で、品質を左右する大きな要因となる。水源はほとんどが伏流水や地下水などの井戸水である。条件が良い所では、これらを水源とする水道水が使われることもあるが、醸造所によって専用の水源を確保することが多い。都市部の醸造所などでは、水質の悪化のために遠隔地から水を輸送したり、良質な水源を求めて移転することもある。酒造りに使われる水は酒造用水と呼ばれ、仕込み水として、また瓶、バケツの洗浄用水として利用される。
蔵元の一部は、仕込み水を商品として販売している。
硬度
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水の硬度は、酒の味に影響する要素の一つである。日本の日常生活では、硬度の測定にアメリカ硬度を用いているが、醸造業界では長らくドイツ硬度を用いてきた。最近はアメリカ硬度へ移行する兆しも見受けられる。
造られる酒の味は、おおざっぱに言えば、軟水で造れば醗酵の緩い、いわゆるソフトな酒、硬水で造れば醗酵の進んだハードな酒になる。理由は、醸造過程で硬水を使用すると、ミネラルにより酵母の働きが活発になり、アルコール発酵すなわち糖の分解が速く進み、逆に軟水を使用するとミネラルが少ないため酵母の働きが低調になり発酵がなかなか進まないからである。
江戸時代以来、高品質な酒を産出してきた灘では宮水と呼ばれる硬水が使用されていた。一方、1897年(明治30年)には広島県の三浦仙三郎により軟水醸造法が開発された。かつては、硬水が酒造用水としてもてはやされていたが、軟水で醸した酒の味わいが現代人の味覚に合っているとして、近年では軟水も見直されている傾向もある。
水質
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古来、酒蔵は川の近くに多い。これは、酒造用水として川の伏流水を汲み上げることによるもの。水は、酒の原材料のなかで唯一、表示義務の対象とされていない。したがって、原料水が、井戸水であるか水道水であるかを明らかにする必要は無い。ただし、酒造用水に課せられている水質基準は、水道水などと比べるとはるかに厳格である。酒蔵は、使用する水を事前にそれぞれの都道府県の醸造試験所、食品試験所、酒造指導機関などに送って監査を受けなくてはならない。
監査は以下のような項目で行なわれる。
臭気
味
色度
濁度
pH
塩素イオン
カルシウム
総硬度
マグネシウム
トリクロロエチレン
全燐
亜硝酸性窒素および硝酸性窒素
- 不検出でなければならない。
過マンガン酸カリウム消費量
一般細菌数 - 不検出でなければならない。
大腸菌群 -
不検出でなければならない。
水銀
鉄 - 許容範囲は0.02mg/l以下(水道水では0.3mg/l以下)。
マンガン -
許容範囲は0.02mg/l以下(水道水では0.3mg/l以下)。
純米酒の飲む方
中国大陸とは違い、日本の水は各地によって小差はあるもののほとんどが中硬水であり、香味を損ねる鉄分やマンガンの含有量が少ないので、醸造に適していると言える。太平洋戦争前に満州へ渡り、在留日本人のために当地で日本酒を造ろうとした醸造業者たちが利用できる水を見つけるのに苦労したという話が多い。
なお、発酵、および麹菌や酵母菌の繁殖を促進するのに有効なだけの微量のカリウム・マグネシウム・燐酸については、成分調整として添加することができる。
水の用途
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酒造りに用いられる酒造用水は、以下のように分類される。
醸造用水 -
醸造作業の最中に酒のなかに成分として取りこまれる水。
洗米浸漬用水 -
米を洗い、浸しておく水。仕込みの前に米の中に吸収される水でもある。
仕込み用水 -
醸造時に主原料として加える水。酒が「液体」として商品になるゆえんともいえる。
雑用用水 -
洗浄やボイラーに用いられる水。これにも、水質の項で述べられているような厳しい基準を通過した酒造用水が用いられる。
瓶詰用水
洗瓶用水 -
瓶を洗う水である。
加水調整用水 - アルコール度数を調整するために加える水。醸造後に酒にとりこまれる。
雑用用水 -
タンクやバケツの清掃に用いる水。これにも、水質の項で述べられているような厳しい基準を通過した酒造用水が用いられる。
杜氏や蔵人の日常生活(食事や洗面など)には、一般人のそれと同じく水道水が用いられる。なお、興味深いことに、蔵人たちが入る風呂には酒造用水を用いる酒蔵が多い。すでにその段階から「仕込み」が始まっているとの酒蔵の考えによるものであり、縁起かつぎとして行っている。
麹
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酵母とは、生物学的には真菌類に属する単細胞生物である。酒造りにおいては、通常は出芽酵母を指す。これも何十万を超える種類が自然界に広く存在しており、それぞれ異なった資質をもっている。この酵母の多様性が酒の味や香りや質を決定づける重要な鍵となる。また多種多様な酵母のなかで日本酒の醸造に用いられる酵母を清酒酵母といい、種は80%以上がSaccharomyces
cerevisiae(出芽酵母)である。
近代以前は、麹と水を合わせる過程において空気中に自然に存在する酵母を取り込んだり、酒蔵に棲みついた「家つき酵母」もしくは「蔵つき酵母」に頼っていた。その時々の運任せで、科学的再現性に欠けており、醸造される酒は品質が安定しなかった。
明治時代になると微生物学の導入によって有用な菌株の分離と養育が行われ、それが配布されることによって品質の安定と向上が図られた。
1911年(明治44年)第1回全国新酒鑑評会が開かれると、日本醸造協会が全国レベルで有用な酵母を収集するようになり、鑑評会で1位となるなどして客観的に優秀と評価された酵母を採取し、純粋培養して頒布した。こうして頒布された酵母には、日本醸造協会にちなんで「協会n号」(nには番号が入る)という名がつけられた。このような酵母を協会系酵母、または協会酵母という。アルコール発酵時に二酸化炭素の泡を出す泡あり酵母と、出さない泡なし酵母に大別される。
もともとの日本酒は、米のもつ地味な香りだけで、いわゆるワインのようなフルーティーな香りは無い。香りをもつようになった吟醸酒を誕生させるのに大きな役割を果たしたのは、協会系酵母のなかの協会7号と協会9号であった。
1980年代に吟醸酒が消費者層に広く受け入れられると、協会系酵母の他にも、少酸性酵母、高エステル生成酵母、リンゴ酸高生産性多酸酵母といった高い香りを出す酵母が多数つくられ、今も大メーカーやバイオ研究所、大学などでさまざまな酵母がつくられている。
1990年代以降は、それぞれ開発地の地名を冠する静岡酵母、山形酵母、秋田酵母、福島酵母なども高く評価されるようになり、最近では、アルプス酵母に代表されるカプロン酸エチル高生産性酵母や、東京農業大学がなでしこ、ベコニア、ツルバラの花から分離した花酵母などが、強い吟醸香を引き出すのに注目を集めている。
しかし、日本酒における吟醸香は、ちょうど人が香水をやたらにつければ逆効果であるのに似て、あまり強すぎれば酒の味を損なう。そこで、強い吟醸香を出す酵母は蔵元に敬遠される一面もある。そういう酵母は、他の酵母とブレンドしたり、鑑評会への出品酒だけに使ったりと、まだ使い方が模索されている途上にあるといってよい。
乳酸菌
純米酒の雑学
自然の乳酸菌を用いる場合もあるが、多くの酒では添加する。酵母と同じように、日本醸造協会の「醸造用乳酸」もある。乳酸菌によって生産される乳酸は、他の雑菌が繁殖しないようにするために、とくに仕込みの初期に重要である。また、乳酸を始めとする酸が、酒に“腰”を与える。もし酸が全くなければ、酒はただ甘いだけのアルコール液になってしまう。酒造りでは、ほどよく酸を出すことも重要である。